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2015年2月23日 (月)

エマニュエル・トッド インタビュー“分断される世界”が興味深い

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2月19日の朝日新聞朝刊に、エマニュエル・トッド(フランス人類学・歴史学者)のインタビュー記事が載っている。

「表現の自由は絶対でなければいけない。シャルリー・エブドにはムハンマドの風刺画を載せる権利がある。一方で私にも誰にでも、無論イスラム教徒にも、シャルリーを批判する権利がある・・・イスラム嫌いのくだらん新聞だと、事件の後も軽蔑し続ける権利が完全にあるのです」

「けれども国中が『私はシャルリー』一色になり、心置きなく話せる環境ではなくなってしまった。

例えば仲間内のおしゃべりで私がシャルリーを批判する権利に触れたとします。『社会的弱者が頼る宗教を風刺するのは品がないぜ』と。

すると相手は『君は表現の自由に賛成じゃないのか、本当のフランス人じゃないな』と決めつけるわけです。上流の知識層でリベラルな人々が、あの大行進に参加した人々がです。『私はシャルリー』が『私はフランス人』と同義になっている。

私はシャルリーじゃない、つまり宗教上の少数派を保護し、尊重しなければと言ったとたん、本物のフランス人ではないと……」

 「今日の社会で表現の自由を妨げるのは、昔ながらの検閲ではありません。今風のやり方は、山ほどの言説によって真実や反対意見、隅っこで語られていることを押しつぶし、世論の主導権を握ることです」

先進国は消費社会の先が見えず、途上国は移行期的混乱にある。地球上の社会すべてが同じ時代にあるわけではない。「例えば教育では、米欧日やロシアでは若者の30~50%が高等教育を受け、自由競争が彼らの生活水準を押し下げています。他方イスラム圏の教育水準は、先進国の1900年ごろにあたります」

「この二つの世界(西側とイスラム圏)はまるで違う時代に生きているのに、グローバル化により人が盛んに行き来するようになりました。両者の間には常に、おかしな衝突や相互作用が起きます。

中でもアラブ系住民が多いフランスでの混乱は著しい。この国のムスリムは、近代化に伴う問題と同時に、現代社会の危機、例えば学歴や若者の失業など、先進国特有の問題にも直面しています。彼らの苦境と中東の混乱を結合させて語るのはまるで幻想ですが、典型的な『衝突』の事例です」

IS(イスラム国)を生んだのは米国のイラク侵攻。9.11後の米国は異常であり、欧州はそれを戒める役回りを自覚していたのだが・・・この2年ほど、かって米国が感染した“好戦的なウイルス”に欧州もやられてしまった。『ロシア嫌い』・・・ロシアにいらだち、米国の姿勢に近づいた・・・まるで冷戦時代に逆戻り。

そして賢明で分別があると思われてたカナダや豪州までが好戦的になった。スウェーデンもプーチンに厳しい。みんなロシアやアラブ世界にいらだっている。

「西側世界は熱狂しやすく、自己偏愛や不寛容が膨らみ、世界全体が見えていない。大いに心配しています」と。

・・・ポール・ニザンの孫で、フランスを代表する知識人。今まで名前しか知らなかったが非常に興味深い内容。早速著書を注文した。

同じ時代の地球に暮しながら、空間的のみならず時間的にも異なる人種や民族・・・通信手段の飛躍的進歩とグローバル経済が、無理やり巨大台風のように全てを巻き込んでかき混ぜていく・・・“熱病のウイルス”に侵された首相が第二の『脱亜入欧』をめざす・・・日本も例外ではない。

坂本 洋

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コメント

それが一番怖いし、極言すれば「諸悪の根源」とも言えるのが不特定多数の意思を持っているんだか持っていないんだかの、ある意味無責任な言論のうねり?でしょうか…(∋_∈)

投稿: 空 | 2015年2月23日 (月) 08時57分

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