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2016年12月23日 (金)

脱ポピュリズム 「昭和の世界と決別を」と小熊英二さん

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22日の朝日新聞朝刊に、社会学者の小熊英二さんのポピュリズムに対する論考が載っていて、非常に興味深い。(以下引用)

『英国のEU離脱の最大要因は増え続ける難民・・・「彼ら移民は最低賃金の時給七ポンド弱(約九百六十円)で休日も働き残業もいとわない。英国人にはもうこんなことはできないでしょ?」

 私はこれを読んで、こう思った。それなら、日本に移民は必要ないだろう。最低賃金以下で休日出勤も残業もいとわない本国人が、大勢いるのだから。

西欧で移民が働いている職場は、飲食や建設などだ。これらは日本では、(外国人や女性を含む)非正規労働者が多い職場である。西欧では移民が担っている低賃金の職を、日本では非正規や中小企業の労働者が担っているのだ。

米大統領選でも、トランプ票は中以上の所得層に多い。つまり低所得層(米国ならマイノリティー、西欧なら移民、日本なら「非正規」が多い部分)は右派ポピュリズムの攻撃対象であって、支持者は少ない。支持者は、低所得層の増大に危機感を抱く中間層に多いのだ。

日本でも社会の変化とともに、右派的な傾向が生まれている。だが日本では、移民や中絶の問題は大きくない。その代わりに、歴史認識や夫婦別姓の問題が、「古き良き生活」と結びついた国家アイデンティティーの象徴となっている。

 そして調査によれば、ネットで右翼的な書き込みをしたり、「炎上」に加担する人に多い属性は、「年収が多い」「子供がいる」「男性」などだ〈3〉。いわば「正社員のお父さん」である。

 この層は、旧来の生活様式、つまり終身雇用や専業主婦などが象徴していた「昭和の生活」を達成しようとあがきながら、それが危うくなっている中間層である。10月の本欄で述べたが、都市部で子供2人を大学に行かせれば、年収600万円でも、教育費を除いた収入は生活保護基準を下回ってしまう。

 さらに住宅を買い、多少の余裕を持つには年収800万でもぎりぎりだろう。統計上は「中の上」の収入でも、「昭和の生活」を維持するのは苦しいのだ。

 もっと働いて稼げ、というのは解決にならない。長時間労働はもう限界だ。日本の労働時間は平均では減少したが、それは非正規労働者が増えたためで、正社員の労働時間は増加傾向だ。長時間労働者の比率は欧米よりずっと多い。サービス残業のため「時給換算で約700円」の大企業正社員もいる〈4〉。

 ではどうするか。無理が多い時は、目標の立て方を見直した方がよい。つまり「昭和の生活」をめざすことが無理なのだ。男性が年収800万を長時間労働で稼ごうとするよりも、男女が適正な労働時間で400万ずつ稼ぐ方が、現代の経済状況に適合している。「古き良き生活」に固執し続ければ、不安とストレスから抜け出せないし、右翼的な書き込みや投票行動をも誘発しかねない。

 しかも日本の労働生産性は製造業で米国の7割、サービス業で5割にすぎない〈5〉。低賃金の長時間労働は、古い産業や古い経営を維持する結果になっている。今の日本は「昭和の社会構造」を維持するために疲れ切っているのだ。

 これは都市だけの話ではない。日本でも実習生という名の移民が農業や縫製などで働いている。安田浩一はこれを「日本の地場産業が、低賃金で働く外国人実習生によって、ぎりぎりのところで生き永らえている」と評した。安田によれば「移民によって日本が日本でなくなる」というのは逆で「外国人によって日本の風景が守られている」のが実態だ〈6〉。

 過去への愛着は理解できる。だが人権侵害が指摘される制度を使ってまで「日本の風景」を維持するべきだろうか。同じく、人間を破壊する長時間労働で「昭和の社会」を維持するべきだろうか。それは他者と自分自身の人権を侵害し、差別と憎悪の連鎖を招きかねない。

 右派ポピュリズムの支持者は誰か。それは古い様式に固執し、その維持のためには人権など二の次と考える人である。他者と自分の人権を尊重し、変化を受け入れること。それによってこそ、健全な社会と健全な経済が創られるはずだ。』(引用終わり)

世界は1%と99%に明確に分かれているのではなく、1%の超富裕層と中間層と、移民や非正規労働者層に分断されている・・・なるほどね(>_<) 日本会議が必死に守ろうとしているのは「昭和の生活」。しかしそれはもう無理なんだよなぁ~( ̄▽ ̄)

坂本 洋

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コメント

構造改革、構造改革といって非正規社員をどんどん増やしておきながら、今ごろになって「同一労働同一賃金」なんていうんですから、わけがわかりませんね。
たかが10年先も考えていないということは、うすうすは知ってましたが、まさかここまでとは・・・。
健全な社会や健全な経済とは、どんどん遠ざかっていくようですね。

投稿: 山田隆志 | 2016年12月23日 (金) 10時23分

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