« 残暑厳しい中にも秋の七草が | トップページ | お盆の思い出 »

2017年8月11日 (金)

ハイネさん 豊川海軍工廠をめぐる4つの物語

Img_7577_2

友人の住田真理子さんから、「ハイネさん 豊川海軍工廠(しょう)をめぐる4つの物語」という単行本が送られてきた。7月22日に発売されたばかりの、作家としてのデビュー作だ。

Amazonで注文していたのも同時に届いたので、二冊が手元に・・・一冊は図書館に寄贈しようと思う。

早速読み始めたが、猛暑・酷暑を忘れさせる内容と展開に引き込まれ、一気に読了・・・暑さと深酒でさっぱり本が読めなくなった私にしては珍しいことだ(^^;)

海軍工廠というのは、海軍のための武器や兵器を造る工場のことで、機銃、弾丸の製造を行う、東海地区では勿論、当時は東洋随一の規模とされた。

豊橋市に住む白井波子は本の虫、幼いころから読書が大好きで、「戦時下に軟弱」とからかわれながらも密かに読書に没頭。そんな彼女が女学校に進み、東京から疎開してきた宮本拝音という同じく本好きの少女と出会う・・・拝音(ハイネ)さんとは友人の名前だった。

すっかり意気投合して親友となった二人だが、戦況は急速に悪化し、学徒動員で豊川海軍工廠へ派遣されることになった。

72年前の8月7日、太平洋戦争末期の豊川市で、大規模なB29の爆撃があった。8月6日に広島に、9日に長崎に原爆が投下され、数十万人の市民が犠牲になり、終戦=敗戦まで後1週間という時期・・・本好きの二人の少女は大空襲の中で如何に?

1961年生まれの住田真理子さんは、もちろん「戦争を知らない」世代。関西で育ったので、豊川海軍工廠関連の親戚がいるわけでもない。

しかし、戦時下の重苦しい雰囲気の中でも、本が好きという二人の少女が懸命に生きる様子の描写が実に瑞々しい・・・まるで、作者がタイムスリップして語っているようだ。

本が大好きで、ご両親の寵愛を一手に受けたという境遇は波子そのもの。さらに、震災を機に豊橋に移住した作者は、豊川海軍工廠見学会に参加する中で、この物語を書く決意を固めていったのだろう。住田さんの御父上は、技術職にありながら作家を志し、芥川賞候補にまでなった方・・・作家の血を受け継いでいるようだ。

ハイネさんを始め、朝鮮人徴用工の話、大阪万博の太陽の塔、更に元海軍工廠に努めていた100歳になる祖父と同居する三世代の物語・・・それぞれが別の短編だが、戦時下に必死に生きる草の根の人々の「小さな物語」が実に生き生きと描かれている。いやぁ~素晴らしい!

ぜひ多くの人にこの本を読んでいただきたい。夏休みの課題図書にもオススメだ(#^^#)

いささか遅い作家デビューだが、今後の創作活動が楽しみ・・・益々のご活躍を!

坂本 洋

|

« 残暑厳しい中にも秋の七草が | トップページ | お盆の思い出 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134196/65649476

この記事へのトラックバック一覧です: ハイネさん 豊川海軍工廠をめぐる4つの物語:

« 残暑厳しい中にも秋の七草が | トップページ | お盆の思い出 »